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使うとどうなる?メディウムと重曹を使ったファーストアート

使うとどうなる?メディウムと重曹を使ったファーストアート

こんにちは、楸(ひさぎ)です。

今回はファーストアートとしてフィンガーペイントに取り組む際に多くの人が気になるであろう「失敗しない方法」について実験したので結果を皆さんにご紹介いたします。

まずフィンガーペイントをご存じない方はその概要、具体的な手順に関して過去記事「ファーストアートにおすすめ|汚れない絵の具お絵かきフィンガーペイント」に記載しているのでそちらをご覧ください。

フィンガーペイントの失敗とは?

フィンガーペイントの際に多い失敗とは「乾燥後のひび割れ」です。これはアクリルガッシュ絵の具(正確には水溶性の絵の具)を利用する以上、ある程度は避けられないもののようです。

水溶性絵の具でひび割れが生じる原理

水溶性の絵の具で作品を描く際、厚く塗るとなぜひび割れが生じるのか、その理由を説明します。水溶性絵の具に含まれる水分は、塗布後に表面から蒸発し始めます。薄く塗ると均一に乾燥しますが、厚く塗った場合、内部に水分が残りがちです。この水分の蒸発に伴う体積の減少が、絵の具の収縮を引き起こします。

特に厚く塗られた絵の具は、表面と内部で乾燥の速度が異なるため、不均一に収縮します。表面が先に乾燥して収縮すると、まだ湿った内部の絵の具層にストレスがかかり、ひび割れの原因になります。内部の水分が完全になくなり絵の具が全体的に収縮すると、このストレスによって表面にひび割れが現れるのです。

ひび割れを防ぐためにはどうすれば良いのか?

絵の具を薄く何層にも分けて塗る

絵の具を薄く何層にも分けて塗ることで、絵の具が均一に乾燥し、表面と内部の収縮差を小さく保つことができ、結果としてひび割れを防ぐことができます。

ジェッソを下地に塗る

ジェッソはキャンバスや他の絵画表面に均一な下地を提供し、絵の具の付着を向上させるとともにひび割れを防ぎます。また、表面の吸収性を調整することで、絵の具が均一に乾燥し、厚く塗られた絵の具の不均一な乾燥と収縮を防ぐ効果があります。

メディウムを混ぜる

メディウムを絵の具に混ぜると、乾燥後の絵の具の柔軟性が向上し、収縮してもひび割れにくくなります。さらに、メディウムは絵の具の乾燥時間を延長し、ゆっくりと均一に乾燥させることで、内部と表面の乾燥差を小さくし、ひび割れを防ぐ効果があります。

重曹を入れるとどうなるのか?ひび割れ防止効果はある?

重曹を絵の具に混ぜることは、ひび割れを防止する目的では推奨されません。実際には、重曹を絵の具に混ぜると以下のような効果があります。

テクスチャの変化

重曹は絵の具のテクスチャを変え、より厚みのある、パフィー(ふくらんだ)感のある質感を作り出し、漆喰のようなテクスチャになります。子供が指を運んだ後が表現しやすくなるのでより個性のある作品に仕上がります。

乾燥時の体積変化

重曹を加えた絵の具は乾燥時に膨張することがあり、これが独特の外観を生み出します。しかし、この膨張はひび割れを引き起こす可能性もあります。

メディウム・重曹の利用によるテクスチャの変化とひび割れ防止効果の観察

ここまでメディウム、ジェッソ、重曹といろいろな混ぜ物の特徴を説明してきましたが、メディウムもいろいろ種類があるので実際にひび割れ防止効果とテクスチャの変化を観察するために試してみました。

利用した画材

今回利用したのはリキテックス社のメディウム5種類とジェッソ、そして重曹です。

リキテックスメディウム一覧

ターナーアクリルガッシュのオリーブグリーン

モデリングペースト(盛り上げ材)

作品の画面に重厚な凹凸が欲しい時、盛り上げ材として使用します。また、額装彫刻、押型装飾、手工芸品等のあらゆる立体的制作、および補修用材料として広く使用できます。

マットメディウム(つや消しメディウム)

リキテックスカラーを薄めるメディウムで、絵具の透明感と定着力を即し、つや消し(マット)の仕上がりが得られます。コラージュの接着剤としても使用できます。

マットジェルメディウム(つや消し盛り上げメディウム)

つや消しの盛り上げようメディウムで、リキテックス・カラーに混ぜると重厚なタッチの仕上がりが得られます。またジェルメディウムと混ぜてつやを調整することができます。

グロスポリマーメディウム(つや出しメディウム)

リキテックスカラーを薄めるメディウムで絵具の透明感や定着力を増し、光沢のある仕上がりが得られます。またコラージュの接着剤としても使用できます。

ジェルメディウム(つや出し盛り上げメディウム)

リキテックスカラーと混ぜるとグロスポリマーメディウムより強い接着力、透明感とつやが得られ、重厚なタッチの仕上がりとなります。またコラージュの接着剤、自家製絵具のバインダー、モデリングペーストのひび割れぼうしにも使用できます。

ジェッソ

リキテックスカラーの定着と発色を促す白色地塗り剤吸水性のある基底材に適し、上にはリキテックスカラーの他、油絵具、水彩絵具などを塗ることができます。

重曹

重曹は、ベーキングパウダーの主成分としてよく知られており、パンやケーキなどの生地を膨らませるために使用されるものです。この中では最も身近に手に入る材料です。

 

ひび割れ具合とテクスチャ

 

①アクリルガッシュ単体:薄く塗った箇所は無事ですが、やや厚めに塗ったところはひび割れています。

②重曹少量:小さくひびが入っています。

③重曹大量:今回はひびがありませんでした。漆喰の壁のような独特のテクスチャが実現しています。

重曹とアクリルガッシュ

④モデリングペースト+マットメディウム:マットで滑らかなテクスチャです。アクリルガッシュ単体の厚塗りと同じくらいの厚さの箇所もひび割れていません。

⑤モデリングペースト:マットで筆の跡の凹凸がそのまま固まっています。絵具にメディウムの白色が混ざることで色が薄まり、黄緑色っぽくなっています。普通にみる分にはひび割れは分かりませんが、近くでよくみると一番厚い部分に若干ひび割れが生じていました。

⑥ジェルメディウム:筆跡の凹凸感はモデリングペーストに近いですが、ツヤが出ており、ぱっと見はゴムパッキンのようなテクスチャです。(触ると硬いのでゴムとは異なる感触です)ひび割れはありません

メディウムを混ぜた絵具

⑦ジェッソ単体:塗りむらによってキャンバス地が見えている箇所もあります。細い筆だとどうしても塗りむらが出来やすいのでムラを避けたい場合は大きなハケで塗ったほうがいいかもしれません。

⑧マットジェルメディウム:モデリングペースト+マットメディウムの筆跡感にややツヤが出たテクスチャです。ひび割れはありません。

⑨グロスポリマーメディウム:ジェルメディウム同様にツヤが出ていますが、シャバシャバだったので平坦かつ薄塗りになり、筆跡などのテクスチャは表現できませんでした。ひび割れはありませんが、筆運びの際についた気泡があります。

メディウムと絵具

結論

ひび割れを避けつつ筆跡を活かすのであればモデリングペースト、ジェルメディウム、重曹が良さそうです。テクスチャはそれぞれ異なり、好みに左右されると思うのでどれがベストかは皆さんのお好みを採用ください。

メディウムとジェッソの実験

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